「歯周組織を再生する」と言いますと、歯周組織を失うのが歯周病ですから、歯周病治療には“救世主的”なイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、重度の歯周病には適応は難しいというのが実際のところです。

再生治療で、再生できるのは、歯を支える骨「歯槽骨」の一部ですが、歯の周りの骨が半分弱、無くなったり、たとえ、骨の無くなった量が少しでも、一周ぐるりと無くなった状態では、適応が無理です。

再生療法の適応は“歯の横の部分の骨が一部、一方向のみ、少量無くなった状態”のみです。(図①)

歯の横の部分の骨が一部、一方向のみ、少量無くなった状態

実際の臨床では、自覚症状がない状態、患者さんご本人が「歯がグラグラしたり、痛みを感じること」はほとんどない状態で、「痛みや症状が気になる・・・」くらいになってしまうころには、骨の破壊が進行しすぎて、再生療法は難しく、歯を残せない状況になっています。

いろいろな骨欠損の状態

いろいろな骨欠損の状態5-6

7は健康な状態 8骨の欠損状態

(図②③④⑤⑥⑧)(⑦は健康の状態の骨です

再生療法が可能な状態は“歯科で定期的に検診を受け、発見してもらう状況”に限られると言っても言いすぎではないような気がします。