歯周外科・再生療法
歯周外科・再生療法
歯周外科について
歯周外科は外科的に歯茎を切開して、歯の根の間や深いところに入り込んでいる歯石や悪くなった組織を取り除きます。
歯周内科で除菌された後に、歯周病が進行しているところに行うと効果的です。ただし、歯がグラグラになってしまうほど、歯周病が進行しているときは、行わない方が良い場合もあります。
■GTR法とエムドゲイン法®
GTR法
歯肉や歯槽骨を以前と変わらない状態に回復させることを目指します。
エムドゲイン法®
歯がはえてくるときに重要な役割をするタンパク質が含まれた薬(エムドゲイン®)を塗って、歯槽骨や歯根膜の再生を誘導します。
ふつうの歯周治療
歯肉や歯槽骨の位置は以前より低くなります。
失われた骨や歯を支える歯周組織を再生する方法は主に二つあります。一つ目はGTR法といって、特殊な膜を歯茎の下に埋め込んで歯槽骨や歯根膜の再生を誘導する方法です。二つ目はエナメルマトリックスタンパク質を主成分とする、エムドゲインという薬を歯の根のまわりに塗って、組織の再生を誘導する方法です。
どちらの方法にするかは、残っている、歯を支える骨の形とか、行う歯の場所、さらに、患者さんの御希望によって選択されます。どちらも、歯槽骨や歯根膜を再生させるという素晴らしい方法ですが、歯周病の程度が重度である場合には、難しいことがあります。
「新歯周病をなおそう」鴨井久一編著 砂書房から引用
再生療法の適応について
「歯周組織を再生する」と言いますと、歯周組織を失うのが歯周病ですから、歯周病治療には“救世主的”なイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、重度の歯周病には適応は難しいというのが実際のところです。
再生治療で、再生できるのは、歯を支える骨「歯槽骨」の一部ですが、歯の周りの骨が半分弱、無くなったり、たとえ、骨の無くなった量が少しでも、一周ぐるりと無くなった状態では、適応が無理です。
再生療法の適応は“歯の横の部分の骨が一部、一方向のみ、少量無くなった状態”のみです。(図①)
実際の臨床では、自覚症状がない状態、患者さんご本人が「歯がグラグラしたり、痛みを感じること」はほとんどない状態で、「痛みや症状が気になる・・・」くらいになってしまうころには、骨の破壊が進行しすぎて、再生療法は難しく、歯を残せない状況になっています。
(図②③④⑤⑥⑧)(⑦は健康の状態の骨です)
再生療法が可能な状態は“歯科で定期的に検診を受け、発見してもらう状況”に限られると言っても言いすぎではないような気がします。