肥満と歯周病
肥満と歯周病との関係
肥満による脂肪細胞の蓄積も、歯周病を悪化させる危険因子なのです。
脂肪細胞はエネルギーを貯蔵させるだけでなく、組織に炎症を起こす作用を持つ物質が作られていることがわかっていて、歯周病のように歯周組織に炎症が起こる病気にも影響を与えてさらに悪化させるのです。
肥満から始まるメタボリックドミノ
肥満によって次々と疾病をひき起こしてしまうことを “メタボリックドミノ” といいます。
最初のドミノは食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足や寝不足、ストレスなどの生活習慣の乱れです。
生活習慣の乱れから余分な脂肪が蓄積され、肥満になります。
脂肪組織、特に内臓脂肪は脂肪の合成・分解が活発なため、過剰になると、血液中に分解物である脂肪酸が増加します。
その結果、高脂血症を発症しやすくなります。
また、多量の脂肪酸は全身を巡って筋肉にも悪影響を及ぼし、インスリンが作用しにくい状態(インスリン抵抗性)を作り出します。
すると、血液中の糖を筋肉中に取り込みにくくなるため、糖がエネルギーとして消費されず血糖値の上昇につながります。さらに、インスリンが交感神経を亢進させることで、高血圧にもつながります。
このように、インスリン抵抗性を一旦引き起こすと、ドミノ倒しのように、次々と病気が進行し、ついには、失明、下肢切断、脳卒中、心不全のような最終段階まで達してしまいます。
内臓脂肪の過剰な蓄積こそが、高脂血症、高血糖、高血圧のリスクを高める根本的な要因であり、これら生活習慣病のリスク軽減のカギを握っているのが内臓脂肪の量なのです。
日本人の3人に1人がメタボ症候群?
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型の肥満かつ、高血糖・高血圧・脂質異常を併発している複合型の生活習慣病のことです。
危険因子が重なっているため、かつては死の四重奏とも呼ばれていました。
研究報告では10年後の虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の危険度が正常な人に比べ36倍も高くなるといわれています。
「平成18年(2006年)国民健康・栄養調査」(厚生労働省)では、40~74歳の中高年のうち、メタボが強く疑われる人の比率は男性24.4%、女性12.1%、予備軍と考えられる人の比率は男性27.1%、女性8.2%という結果がでています。
実に、40~74歳の男性2人に1人、女性5人に1人が危険にさらされているといえるのです。