小児矯正と口呼吸
小児矯正と口呼吸
小児の口呼吸の原因は、
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1.飲み込む時舌が出る(異常嚥下癖)
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2.咽頭扁桃の増殖肥大(アデノイド)
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3.口蓋扁桃の肥厚
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4.鼻中隔湾曲症による鼻づまり
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5.気道の狭窄
これらの原因で口呼吸となると、舌は下にさがり、上あごの口蓋につけられなくなるため、上あごの歯列弓は狭くなり歯並びが悪くなります。
また、いつも、口を開いているので、上の前歯は前の方に傾斜し“出っ歯”気味になる。
そして、さらに、上の前歯が前に傾斜し、口を閉じにくくなります。
常に口を開いているため、下あごの角度(横から見た上あごと下あごの角度)が開いたまま成長し、最終的に縦に長い顔になってしまいます。
歯の噛み合わせも前歯の上下の歯がちゃんと噛み合わない状態(開咬)になることも多いです。この場合、前歯で噛み合わずに奥歯でしか噛んでいないため、奥歯の負担は通常より大きくなり、歯の持ちも悪くなります。
こういう奥歯の治療をしても、痛みなどの症状がとれにくく、治療期間もかかり、さらに予後も悪いです。
したがって、「口呼吸」は輪並びが悪くなる大きな原因であり、小児矯正の治療を難しくする障害であるといえます。
ですから、小児矯正の考え方として、口呼吸の原因を探し、できるだけ早期に、まだ成長発育が終了してしまう前にその原因に対処していく、ということが大事だと思います。
1.“飲み込む時に舌が出る”に対しては、多くのお子さんに見られます。飲み込む時だけでなく、しゃべっている時、普段何気ない時にも舌が出てきます。これは、舌を上あごの口蓋にくっつける、舌を上に持ち上げる力が弱いためで、乳児期の飲み込み方がのこってしまっていると考えられます。
当クリニックでは舌を上に持ち上げる舌の筋肉のトレーニングをして対処しています。
あともう一つ、舌を上あごの口蓋につけたくても、歯並びの列が狭く、舌を口蓋にくっつけるスペースが不足していることも原因ですから、当クリニックは歯並びを広げ、舌がくっつきやすいように対処しています。
2.“咽頭扁桃の増殖肥大”は“アデノイド”といわれ、歯並びに悪いだけでなく、呼吸もしづらいですから、重症の場合は切除してもらうことをお勧めしています。
たしかに、時期が来れば縮小傾向にはなりますが、それを待っていると、歯並び、噛み合わせの修正が難しくなるだけでなく、顔貌も“アデノイド顔貌”といわれるように、口がいつも開いて、顔が縦に長く変化してしまいます。
3.“口蓋扁桃の肥厚”についても、アデノイドと同様です。小児矯正としては、重症の場合は全身状態にも影響がありますし、切除が望ましいです。
4.“鼻中隔湾曲症による鼻づまり”、5.“気道の狭窄”の2つは鼻炎、アレルギーなどで、鼻づまりを常に起こしやすいですから、継続的に耳鼻科に通っていただき、鼻の通りを良くし、当クリニックでは“口を閉じるトレーニング”⇒(とじろうくん、タッチスティック)や、“舌を口蓋につけるトレーニング”(あげろうくん)をしてもらっています。
まとめ・・・口呼吸に対しても、小児矯正では、原因を考え、早期に対処していくことが重要です。骨格的な遺伝的な問題はたしかに大きいですが、早期に対処し、少しでも成長発育を変えていくことが歯並び、噛み合わせを重症化させないことだと考えられます。
近藤歯科クリニックはそのためにバイオセラピーに取り組んでいます。