子どもの歯並びと噛み合わせ
子どもの歯並びと噛み合わせ
◎歯並び、噛み合わせは結果です。
子どもの歯並びと噛み合わせは密接な関係があります。
まず、歯が生えて歯並びが決まって、食べ物を噛んで、機能させて、噛み合わせも決まってくるのです。
ただし、歯並び、噛み合わせはあくまでも結果であり、根本は身体の使い方、噛み方などで決まります。
○幼児期(2~5歳)
子どもの歯(乳歯)の時期なので、この時期は歯科健診でも、歯科医院で診てもらってもあまり、はっきりとは言われませんが、永久歯の歯並びではっきりと問題が出てくる前にすでにその兆候があります。
(ちなみに、2歳前のお子さんの場合はまだ、上下の奥歯が生えていませんから、噛み合わせを診ることはできません。)
そして、その兆候は、上下のあごの位置の関係であり、身体の使い方、乳児期はおっぱいを飲んでいるとき、動き始めてハイハイをしているときの様子、離乳食の与え方、自分で食べられるようになったら、食事の時の姿勢、食べ物の嗜好など、多くの日常の習慣によって決まってきます。
大きく分けて3つの場合があります。
まず上のあごと下あごの位置がちょうど合っている(これは見た目にも自然ということです)状態。
次に上のあごが前に出ていて、見た目“出っ歯”のような状態。
さらに、下あごが前に出ていて“受け口”になっている状態。
一般的には、この幼児期に原因に対処し、習慣を修正していくことが望ましいです。「永久歯に生え変わるまで、様子を見ましょう」というのはあまり好ましくありません。
○小学校低学年の時期(6~9歳)
この時期に上下の前歯が生えそろいだいぶ歯並び、噛み合わせの原型が出来てきます。
この時期に“出っ歯”のように見えるお子さんが多くみられます。
ここで、注意しなくてはならないのが、実際に“上の歯が前に出ている”こともありますが、ほとんどは、下のあごが後ろに下がってしまい相対的に上の歯が“出っ歯”にみえている状態である、ということです。
上の前歯が歯の生えるスペースが十分にあり、4本きちんと並ぶお子さんは滅多にいません。
そこで、歯が重なり、真ん中の中切歯は前に突出するか、横の側切歯が内側に入るか、その程度は舌の動きによって決まっていきます。
中切歯が前方に出る、“本当の出っ歯”になる場合、または側切歯が内側に入り込んでそのため、噛み合わせにより下あごが後ろに下がる“相対的な出っ歯”かどちらかであると言えます。
いずれにしても、上あごの成長不足で歯が並ばないことと舌や、唇の機能が良くないことなどが原因です。
あと、よく見られるのが、舌が前に出て、上下の前歯の間に空隙があるお子さんです。これが、前歯が生えそろうまでの一時的なものか、それとも、舌の癖(舌癖)によるものなのかは、上下の歯が徐々にちゃんと噛み合ってくるかを見ていればわかります。
○小学校中高学年の時期(10~12歳)
この時期、男の子は5年生後半ころから、女の子は4年生前半のころから、一気に背が伸び始め、第二次性徴期に入ります。
この時期の成長、変化は遺伝的傾向が強いため、ある程度やむを得ない状況で、歯並び、噛み合わせもご両親のマイナス点(歯の重なりや反対咬合)が出現しやすい傾向にあります。
さらに、最近は上あごの成長が良くなく、舌の機能も良くないため、歯の重なりも重度になり、噛み合わせも良くない状態が多くみられます。
したがって、この時期まで、幼児期から小学校低学年のうちに、“歯並びに良い生活習慣、食生活”を身に着け、実践していくことが大事です。
歯並び、噛み合わせに良いことは身体の成長発育、健康維持にも良いことですから、“食べ物を前歯で噛むこと”や“食べる時の正しい姿勢”や“舌の機能を良くするトレーニング”はぜひ、継続して行ってください。