永久歯と乳歯の違いについて
私たちの歯は、永久歯と乳歯の2つに大きく分けられます。
どちらも組織の成分や構成などは根本的に同じなのですが、細かく見ていくとかなりの違いが存在しています。
ここではそんな永久歯と乳歯の違いにについて、立川の近藤歯科クリニックがわかりやすく解説をします。
もくじ
永久歯の特徴
はじめに、永久歯の特徴をご紹介します。
永久歯の本数
永久歯には、中切歯・側切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯の5種類があり、親知らずを除くと全部で28本生えてきます。
実は親知らずも「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」という立派な永久歯のひとつなのですが、日本人の場合は正常に生えてくることが少ないだけでなく、口腔内のトラブルメーカーとなりやすいため、基本的には正常な歯の本数から除外するにようになっています。
永久歯の歯種による違い
永久歯の特徴は、歯種によっても大きな違いが見られます。
1. 中切歯
中切歯(ちゅうせっし)は前歯の中心に位置する歯で、噛み合わせの際に食べ物をかみ切る役割を担っています。
また、発音にも大きく関わりがあり、特に「サ行」や「タ行」の発音において重要です。
中切歯は乳歯に比べてサイズが大きく、強度も高いため、長期間にわたってしっかり機能するようにできています。
2. 側切歯
側切歯(そくせっし)は前から2番目に位置する歯で、中切歯と同様に食べ物を噛み切るのが主な役割です。
中切歯と比較すると形状がやや細長く、食べ物をより細かく噛み切るのに適しており、前歯部の見た目のバランスを保つ上でも重要です。
側切歯は、顔の印象を大きく左右する部位でもあるため、矯正治療においても審美面で注目される歯といえます。
3. 犬歯
犬歯(けんし)は、前から3番目の歯で、その鋭い形状から「糸切り歯」とも呼ばれています。
犬歯は、食べ物を引き裂く役割があり、噛む力を支える重要な役割を担っています。
犬歯は根が深く、他の歯に比べて長くて強靭であり、口腔内の安定性に大きな影響を与えます。
また、犬歯の位置は噛み合わせに大きく関わるため、矯正治療でも特に重視される部分といえるでしょう。
4. 小臼歯
小臼歯(しょうきゅうし)は、犬歯の後ろに位置し、上下左右に2本ずつ存在します。
前方にあるのが第一小臼歯、後方にあるのが第二小臼歯です。
小臼歯は、食べ物をすり潰す役割を果たしており、主に固形物を細かくする機能を担っています。
また、噛み合わせの調整にも重要で、小臼歯の位置や形状がずれると、全体のバランスが崩れることがあります。
5. 大臼歯
大臼歯(だいきゅうし)は、口の奥に位置する最も大きな歯で、上下左右に2本ずつあります。
前方にあるのが第一大臼歯、後方にあるのが第二大臼歯です。
大臼歯は、咀嚼機能の主体となる歯で、食べ物を細かく砕く役割を担っています。
大臼歯は、むし歯になりやすい部分でもあるため、歯磨きや定期的な歯科検診が必要です。
乳歯の特徴
次に、子どもの歯である乳歯の特徴をご紹介します。
乳歯の本数
乳歯には、乳中切歯・乳側切歯・乳犬歯・乳臼歯の4種類があり、全部で20本生えてきます。
永久歯とは異なり、親知らずのような例外的な歯は生えてきません。
ただし、お子さんによっては乳歯の数が多い過剰歯(かじょうし)や乳歯の数が少ない先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)などが見られることがあるため、定期的に口腔内診査やレントゲン撮影などを受けておくことが推奨されます。
乳歯の歯種による違い
乳歯も永久歯と同じく、歯種による違いが見られます。
1. 乳中切歯
乳中切歯(にゅうちゅうせっし)は、乳歯の前歯にあたり、上下左右に1対ずつ存在します。
乳中切歯は生後6~8ヶ月頃から生え始め、食事の際に食べ物を噛み切る役割を担っています。
永久歯と比べてサイズが小さく、エナメル質も薄いため、むし歯になりやすい傾向があります。
また、乳中切歯が噛み合わせの基礎を形成し、永久歯が正しい位置に生えるためのガイドとなるため、歯のケアが非常に重要です。
2. 乳側切歯
乳側切歯(にゅうそくせっし)は乳中切歯の隣に位置し、上下左右に1対ずつ存在します。
乳側切歯は、生後9~12ヶ月頃に生え始め、乳中切歯と協力して食べ物を噛み切る役割を果たします。
乳歯の側切歯は、永久歯の側切歯よりもサイズが小さく、根も短いです。
3. 乳犬歯
乳犬歯(にゅうけんし)は、乳側切歯の隣に位置し、上下左右に1本ずつあります。
乳犬歯は生後16~20ヶ月頃に生え始め、主に食べ物を引き裂く役割を担っています。
永久歯の犬歯に比べて形状がやや丸みを帯びており、噛む力も弱いですが、口腔内の安定性に貢献しています。
乳犬歯は顎の発達や顔の形状にも影響を与えるため、成長過程での噛み合わせの確認が大切です。
4. 乳臼歯
乳臼歯(にゅうきゅうし)は、おく口の奥に位置する歯で、上下左右に2本ずつ存在します。
前方に位置するのが第一乳臼歯で、後方は第二乳臼歯です。
乳臼歯は生後1歳半から2歳半頃に生え、食べ物をすり潰す役割を果たします。
永久歯の大臼歯に比べてサイズは小さいものの、咀嚼機能の主体となる点は共通しています。
乳臼歯はむし歯になりやすく、特に奥歯は磨き残しが多いため、定期的な歯科検診が必要です。
乳臼歯がしっかり機能することで、成長過程における顎や噛み合わせの発達が促進されます。
乳歯が永久歯よりもむし歯になりやすい理由
最後に、むし歯リスクに焦点を当てて、乳歯と永久歯の違いを深堀します。
1. 歯質が薄い
乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄いという特徴があります。
エナメル質は歯の表面を覆う硬い層であり、むし歯菌から歯を守る役割を果たしていますが、乳歯ではこの層が薄いため、むし歯菌の影響を受けやすく、むし歯が進行しやすいのです。
特に初期むし歯の発見が遅れると、短期間で進行してしまうことが多いです。
ちなみに乳歯は象牙質も薄く、どちらも永久歯の半分程度の厚みしかありません。
2. エナメル質が柔らかい
乳歯のエナメル質は、永久歯と比較すると未成熟です。
石灰化が不十分であることから、酸による刺激で溶けやすくなっているのです。
これもまた乳歯のむし歯リスクを高め、進行も早める要因となっています。
3. 歯間が狭く食べ物が詰まりやすい
乳歯列は、すきっ歯の症状が現れやすいです。
これは永久歯が生えてくるためのスペースを確保するという意味で重要なポイントとなるのですが、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなる点に注意しなければなりません。
奥歯の間に食べ物が詰まったまま放置していると、むし歯菌が繁殖しやすくなります。
そうした歯間部の汚れは、歯間ブラシやデンタルフロスの使用が推奨されますが、小さなお子さんにとっては自分でケアするのが難しいため、親御さんのサポートが必須となります。
4. 歯磨きが不十分になりやすい
小さな子どもは、まだ自分で十分に歯を磨くことができないため、歯磨きが不十分になりがちです。
特に奥歯や歯の裏側の汚れは見落としてしまうことが多く、そこにむし歯ができやすくなります。
親御さんがしっかりと仕上げ磨きを行うことが、むし歯予防において重要な役割を果たします。
5. 甘い飲食物の摂取が多い
子どもは甘い飲み物やお菓子を好む傾向がありますが、これがむし歯の原因となりやすいです。
砂糖はむし歯菌の餌となり、口腔内の酸性度を高めてエナメル質を溶かす原因となります。
甘いものを控えめにし、食後や間食後にしっかり歯磨きを行うことがむし歯予防に繋がります。
以上が、乳歯が永久歯よりもむし歯になりやすい主な理由です。
適切なケアと定期的な歯科検診を通じて、乳歯の健康を守りましょう。
お子さんの歯に何らかの異常が認められたり、歯並びや噛み合わせで気になる点があったりする場合は、いつでもお気軽に近藤歯科クリニックまでご相談ください。
当院のホームページに設置されているお問い合わせフォームにお子さんの年齢や気になるところ、歯の様子などを記入していただくことで、疑問を解消できるかもしれません。
お口の中の写真も添付できるようになっておりますので、ぜひご活用ください。