小児矯正と成長発育
もくじ
小児矯正と成長発育
全身とあごの成長
全身の成長発育のパターンとして、Scammonの臓器別発育曲線がよく知られています。
- ○リンパ系型 10歳ころがピークの発育
- ○神経系型 出生字がピークで徐々に少なく
- ○一般型 幼児期と二次性徴期にピーク
- ○生殖器型 二次性徴移行ピーク
ここで大事なことは、脳頭蓋は神経系型で顔面頭蓋は一般型ですが、上あごは一部脳頭蓋底に付着しているので神経系に近く、下あごは一般型に近い発育をするということです。
したがって、小児矯正でも上あごの自然成長は学童期以降、それほど期待できないということです。
ですから、小学校入学時に上あごの成長が少なく、上あごの歯のアーチも小さく、歯が並ぶスペースの少ないお子さんは、身体の成長(一般型)に伴う上あごの自然成長はそれほど見込めないということです。
したがって、早期(幼児期)からの口腔周囲の機能トレーニングを行っていくことと、上顎左右中切歯が萌出して、拡大装置が装着可能になれば、拡大処置も行っていくことが望ましいといえます。
一方、下あごの成長発育は身長の伸びとほぼ同じペースということは、小学校低学年の時期に上あごの成長が足りないとすれば、第二次性徴以降、下あごが成長し、上下のあごの大きさがアンバランスになり、下あごが前に出た顔になりやすいということです。
さらに、小学校低学年の時期、上あごの成長不足で、舌が前方に出てくる傾向とすれば、さらに小学校高学年以降、下あごを前方に押し出すことになり、受け口的顔貌=縦に長い顔、しゃくれた顔になってしまいます。
歯列と咬合の成長発育
乳歯の噛み合わせは2〜3歳に完成します。
永久歯の歯並び、噛み合わせと比較して、個人差が少なく、それだけまだ、環境的影響をうけていない状態といえます。
そして、この乳歯が生えそろった時期から、永久歯の生え変わりが始まる6歳までの3~4年間の間に生活習慣、食生活などの環境的影響によってあごの成長などの差がでてくるのです。
5歳くらいで、乳歯の前歯に隙間(歯間空隙)ができてすきっ歯が目立つくらいでないと、まず。永久歯の歯並びもきれいには並びません。
あと、あごの前歯の部分がよく成長する時期が上の中切歯、下の側切歯が生えてくるころだといわれています。
ですから、幼児期から、“前歯で噛み切る”習慣を身につけさせてください。
そうすれば、乳歯のころから、空隙歯列弓になり、前歯の生え変わりの時期もあごの自然成長を期待でき、小児矯正を行わなくても良い歯並びになると思います。
当クリニックでは、幼児期から、とにかく来院された小さなお子様たちのお母様方に繰り返し繰り返し、“前歯で噛み切る”ことの大切さをお話ししています。