永久歯が横に生える原因と対処法を解説
永久歯は本来、真っすぐ生えて、上下の歯列で正常に噛み合うものです。
そんな永久歯が横に生えるとさまざまなトラブルを引き起こすため、放置せずに適切に対処する必要が出てきます。
もくじ
永久歯が横に生える原因
永久歯が横に生える原因としては、以下の4つが挙げられます。
1. 乳歯の早期喪失
乳歯がむし歯の重症化などによって通常よりも早く抜けてしまうと、永久歯が正しい位置に生えるためのガイドがなくなり、結果として横に生えてしまうことがあります。
あるいは、乳歯の早期喪失で隣接する歯が移動し、十分なスペースを確保できなくなることで永久歯が横にずれる場合もあるでしょう。
2. 乳歯の晩期残存
乳歯が適切な時期に抜けずに残っている場合も永久歯が横に生える原因となりやすいです。
乳歯が妨げとなって、下に控えている永久歯が垂直に萌出することができず、横に逸れてしまうのです。
3. 顎の発達不全
顎の骨が十分に発達していない場合、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースが足りず、横向きに生えることがあります。
特に現代では、柔らかい食事が増えたことにより、顎の発達が十分でない子どもが増えているため、このようなケースが増えています。
4. 歯の大きさの不均衡
歯の大きさと顎のサイズが合わない場合も、永久歯が横に生える原因となります。
例えば、歯が標準よりも大きい場合、顎のスペースが足りなくなり、歯が正しい位置に生えず、横に向かってしまうことがあります。
5. 遺伝的要因
永久歯が横に生える原因には遺伝的要因もあります。
親が同じような歯並びや顎の形を持っている場合、その影響を受けて子どもも同じような問題を抱えることがあります。
遺伝的要因は避けられないものの、早期に矯正治療を行うことで改善が可能です。
永久歯が横に生えることのデメリット
永久歯が横に生えると、次に挙げるデメリットが生じます。
1. 噛み合わせの悪化
永久歯が横に生えることで、噛み合わせが乱れてしまいます。
噛み合わせが不均等になると、食べ物をうまく噛み砕けず、消化器系に負担がかかるだけでなく、顎の関節や筋肉にもストレスがかかることがあります。
その結果、顎関節症や頭痛、肩こりなどの症状を引き起こすことがあります。
2. むし歯や歯周病のリスクが増加
横に生えた歯は、隣の歯との間に不規則な隙間を作ることが多く、歯磨きが難しくなります。
そのため、歯垢や食べかすが溜まりやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
特に奥歯でこのような問題が生じると、早期発見が難しく、症状が悪化しやすいです。
3. 発音への影響
横に生えた歯が発音に影響を与えることがあります。
歯の位置が正しくないと、舌や唇の動きが制限され、特定の音が発音しにくくなることがあります。
特に「サ行」や「タ行」の発音に影響が出る場合があり、特に成長期の子どもでは、発音の問題がコミュニケーションにも影響を及ぼすことがあります。
4. 審美的な問題
横に生えた歯は見た目にも影響を与えます。
歯並びが乱れることで、口元の見た目が悪くなり、自信を失う原因となることがあります。
特に前歯が横に生えると、笑顔に影響が出てしまうため、心理的なストレスを感じる患者さんも少なくありません。
5. 周囲の歯への影響
横に生えた歯が隣接する歯に圧力をかけることがあります。
その結果、隣の歯が移動したり、歯根が損傷したりすることがあり、長期的には他の歯にも悪影響を及ぼす可能性が高まるでしょう。
歯列全体のバランスが崩れると、噛み合わせや歯の健康に深刻な影響を与えることがあります。
これらのデメリットを避けるためには、早期の発見と治療が重要です。
横に生えた永久歯は、噛み合わせや口腔内の健康に大きな影響を与えるため、定期的な歯科検診を受け、適切な処置を受けることが大切です。
横に生えた永久歯への対処法
永久歯が横に生えた場合は、次の方法で対処することになります。
1. 保隙装置でスペースを維持する
乳歯が通常よりも早く抜けると、隣接する歯が移動し、永久歯が正しい位置に生えられなくなります。
この場合、クラウンループなどの保隙装置(ほげきそうち)を使い、永久歯が生えるスペースを確保することが対策となります。
早期に適切な処置を行うことで、噛み合わせの乱れを防ぎます。
2. 抜けずに残っている乳歯を抜歯する
自然脱落が見込めない晩期残存の乳歯には、抜歯が適応されます。
その後、永久歯が自然に萌出する場合は特に問題はありませんが、そうではない場合は、矯正装置による治療が必要となります。
3. 拡大装置で顎を広げる
顎の成長が不十分なケースには、顎を広げるための拡大床装置を使用することがあります。
この方法は、成長期の子どもには効果的で、顎の発達を自然な形で促すことができます。
4. 抜歯をして歯並びを整える
歯の大きさが顎に対して大きい場合も、専用の装置を使って顎の骨の発達を促すことがありますが、抜歯を行ってスペースを確保し、矯正治療で歯並びを整える方法も一般的といえます。
これらの対処法を通じて、永久歯が横に生えた場合でも早期に治療を受け、正しい噛み合わせを維持することが重要です。
永久歯が横に生えるトラブルを未然に防ぐ方法
このように、永久歯が横に生えるとさまざまなトラブルが起こるので、以下の方法で未然に防ぎましょう。
1. 定期的な歯科検診
最も効果的な予防策は、定期的に歯科検診を受けることです。
特に乳歯が抜ける時期や永久歯が生え始める時期には、噛み合わせや歯の位置の変化を定期的に確認することが大切です。
歯科医師が早期に異常を発見し、適切な治療を行うことで、横に生えるリスクを最小限に抑えられます。
2. 乳歯の健康管理
乳歯が永久歯の正しい位置に生えるためのガイドとなるため、乳歯を健康に保つことが重要です。
むし歯や歯周病によって乳歯が早期に抜けてしまうと、永久歯が正しい位置に生えにくくなります。
乳歯の健康をしっかり守っていくためにも、歯磨き指導やフッ素塗布を活用していきましょう。
3. 顎の成長をサポートする食事
顎の発達不全は、永久歯が横に生える原因の一つです。
特に成長期の子どもには、硬い食べ物をしっかり噛む習慣をつけることが重要です。
硬い食べ物を噛むことで顎が強くなり、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースが確保されます。
普段の食事に噛み応えのある食材を取り入れることが、顎の成長に効果的です。
4. 矯正による早期介入
永久歯の位置がずれ始めた場合、早期の矯正治療が有効です。
横に生える兆候が見られた時点で、矯正装置を用いることで、歯が正しい方向に成長するよう導けます。
特に成長期の子どもは歯列が柔軟で、早期治療が効果的です。
歯科医師の指導の下、最適なタイミングで治療を開始しましょう。
これらの方法を取り入れることで、永久歯が横に生えるトラブルを予防し、患者さんの歯の健康を保つことができます。
早期の対応と予防策が、健やかな噛み合わせとむし歯予防に繋がります。
もうすでに永久歯が横に生えている場合は、立川の近藤歯科クリニックまでご相談ください。
詳しい症状やお悩みをお問い合わせフォームに記入いただければ、こちらから適切なアドバイスを行える場合もあります。