親知らずを抜く・抜かないの判断基準は?
お口のトラブルメイカーである親知らず。
誰しもがいつかは抜かなければならないと思われがちですが、実際はそうではありません。
親知らずの生え方や埋まり方には個人差があり、親知らずを抜くか抜かないかも個々のケースで大きく異なるからです。
ここではそんな親知らずを抜く・抜かないの判断基準と親知らずを抜かないメリットについて、立川の近藤歯科クリニックがわかりやすく解説をします。
もくじ
そもそも親知らずとは?
親知らずとは、第三大臼歯とも呼ばれる歯で、通常は10代後半から20代にかけて生えてくることが多い歯です。
親知らずは上下左右に1本ずつ、合計4本存在する可能性がありますが、人によっては全て生えてこない場合や、そもそも親知らず自体がない場合もあります。
親知らずの特徴
親知らずは他の歯に比べて奥に位置しているため、歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが高い特徴があります。
また、歯茎や骨の中に埋まったままのこともあり、その場合は歯科医院での検査が必要です。
親知らずを抜いた方がいい症状
親知らずを抜歯すべきかどうかは、患者様のお口の状態や症状によって異なります。
以下に挙げるケースでは、親知らずを抜くことが適切な場合が多いです。
1. 虫歯や歯周病が進行している場合
親知らずはその位置や形状から、歯ブラシが届きにくく、プラークや歯石が溜まりやすい特徴があります。
その結果、虫歯や歯周病が進行するリスクが高まります。
特に、親知らずが周囲の歯に炎症を引き起こしたり、虫歯を広げてしまったりする場合には、抜歯を行うことでお口全体の健康を守ることができます。
2. 隣接する歯に悪影響を与えている場合
親知らずが斜めや横向きに生えている状態では、隣の第二大臼歯を圧迫する可能性があります。
このような状況が続くと、第二大臼歯に虫歯や歯周病が発生するリスクが高まるため、親知らずの抜歯が推奨されることがあります。
また、隣接する歯の歯根が損傷するケースも考えられます。
3. 智歯周囲炎を繰り返す場合
智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは、親知らずの周辺に炎症が起こる状態を指します。
この症状は、親知らずが半分だけ生えていたり、歯茎に覆われていたりする場合によく見られます。
智歯周囲炎が繰り返されると、強い痛みや腫れ、口が開きにくくなるなどの不快な症状が続くため、抜歯が根本的な解決方法となります。
4. 噛み合わせや顎関節に悪影響を与えている場合
親知らずが正しい位置に生えておらず、噛み合わせを乱している場合には注意が必要です。
噛み合わせの不調は、顎関節への負担を増やすだけでなく、咀嚼機能や全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
歯科医師による精密な診断を基に、抜歯の適否を判断します。
これらのケースでは、早めに歯科医院で診察を受け、親知らずの状況を確認することが重要です。
適切なタイミングで処置を行うことで、患者様のお口の健康を長く保つことができます。
親知らずを抜かない方がいい症状
一方で、親知らずを必ずしも抜く必要がない場合もあります。
以下のような条件に当てはまる場合は、親知らずを抜かないで経過観察をすることが選択肢となります。
1. 親知らずが正常に生えている場合
親知らずがまっすぐ生え、周囲の歯や噛み合わせに悪影響を与えていない場合、無理に抜く必要はありません。
このような親知らずは、正しい歯磨きや定期的な歯科検診を続けることで健康な状態を維持できます。
歯科医師の指導を受けることで、親知らずを長期的に活用することも可能です。
2. 虫歯や炎症がない場合
親知らずが完全に歯茎や骨の中に埋まっており、虫歯や炎症のリスクが低い場合には、そのまま様子を見ても問題ないことがあります。
特に、埋伏している親知らずが周囲の歯や組織に影響を与えていない場合、抜歯を避けることで体への負担を最小限に抑えられます。
また、定期的なレントゲン撮影を行うことで、リスクの変化を早期に把握できます。
3. 全身疾患がある場合
心臓病や糖尿病など全身疾患があり、抜歯によるリスクが高い患者様の場合は、医師や歯科医師と相談し、慎重に判断する必要があります。
全身疾患を持つ患者様では、抜歯が原因で全身の健康状態が悪化するリスクが考えられるため、抜歯以外の選択肢が検討されることが多いです。
歯科医師と主治医が連携し、最善の方法を決定することが重要です。
4. 高齢の患者様の場合
高齢者の場合、親知らずの抜歯による回復が遅れる可能性があり、慎重な判断が求められます。
特に他の歯が健康で、親知らずが問題を引き起こしていない場合には、抜歯を避ける選択が合理的な場合があります。
患者様の全体的な健康状態や生活の質を考慮しながら、歯科医師が適切なアドバイスを行います。
親知らずを抜かないメリット
親知らずを抜かない選択をすることで、以下のような多くのメリットがあります。
これらの利点は、患者様の生活やお口の健康に大きな影響を与える可能性があります。
【メリット1】抜歯に伴うリスクを回避できる
抜歯は外科処置であり、術後に痛みや腫れが起きるほか、稀に出血や感染症といった合併症を引き起こすリスクもあります。
また、親知らずが歯茎や骨の奥深くに位置している場合、周囲の神経や血管に影響を及ぼす可能性もあるため、慎重な処置が求められます。
これらのリスクを避けることで、患者様の身体的負担を軽減できます。
【メリット2】抜歯の費用がかからない
親知らずの抜歯には、抜歯自体の費用に加えて、術後の経過観察や薬代などの追加コストがかかることがあります。
特に難易度の高い抜歯では、専門的な設備や技術を要するため、経済的な負担が増すことがあります。
一方で、抜歯を回避することで、こうした費用を抑え、他の必要な歯科治療や予防ケアに資金を充てることが可能です。
【メリット3】移植歯やブリッジの支台歯として活用できる
健康な親知らずは、歯科治療における貴重な資源となる場合があります。
例えば、他の歯が失われた場合には、親知らずを移植歯として使用することができます。
この方法は、インプラント治療の代替手段としても注目されています。
また、ブリッジ治療の支台歯として親知らずを利用することで、義歯を安定させる役割を果たします。
こうした応用方法があるため、健康な親知らずは将来的に患者様の歯科治療に大きく寄与する可能性があります。
【メリット4】全身の健康リスクを低減できる
全身疾患をお持ちの患者様においては、抜歯が引き金となり健康状態に影響を与えることがあります。
親知らずを抜かないことで、全身の炎症反応や術後の体調悪化を避けることができるため、全体的な健康維持に繋がる場合があります。
このように、親知らずを抜かない選択は、患者様の健康や生活の質を高める可能性があります。
ただし、適切な判断を下すためには、定期的な歯科検診を受け、親知らずの状態を歯科医師と一緒にモニタリングすることが重要です。
まとめ
親知らずを抜くか抜かないかの判断は、患者様ごとに異なる状況や症状に基づいて慎重に行う必要があります。
抜歯が適切な場合もあれば、抜かずに経過観察を選ぶことでメリットを享受できる場合もあります。
親知らずについての不安や疑問がある場合は、ぜひ当院にご相談ください。
近藤歯科クリニックでは、患者様一人ひとりの状態を丁寧に診察し、最適な治療方法をご提案いたします。