前歯が生えてこない!
もくじ
前歯が生えてこない
小学校低学年のお子さんのお母様方から、「乳歯が抜けたのに前歯が生 えてこない」という相談がよくあります。大切なお子さんの一生ものの永久歯になりますので心配になってしまうでしょう。でも、ほとんどは解決できる何かしらの原因がありますので安心してください。
ではどういった原因が関係していることが多いのか解説していきます。
矯正・小児矯正に関する、ご相談・お問い合わせはお気軽に下記よりご連絡ください。
永久歯が生えない理由
永久歯が生えてこない理由としては以下の4点が考えられます。
1.歯の生えるスペースが少ない
これは、上あごの前歯によくあることで、生えてくる永久歯が予想以上に大きい、それに対して生えるスペースが不足しているのです。
最初の生え変わりは下の前歯(中切歯)。これは、ほとんどの場合、すんなり生えてきますので、「歯の生え変わりって乳歯が抜けるとすぐに永久歯が出るんだなあ!」と思ってしまいます。
下の前歯の次は上の前歯、今度は左右どちらかの1本目はすんなり出ますが、もう片方が少し時間がかかります。
これは生えるスペースが不足しているためです。
そして、次は下の側切歯。これも、すでに生えている中切歯の横(スペースが無い場合は内側)に生えてきます。
問題は次の上の側切歯!これがなかなか生えてきません!
子どもの乳歯が抜けてから、半年以上も生えてこない!ということもよくあります。
その場合、レントゲンを撮ってみると、永久歯の側切歯が大きすぎて、すでに生えている中切歯と隣の乳歯の犬歯に挟まれて出られない状態、ということが多いです。
ですから、上あごの側切歯は乳歯が抜けてもすぐに生えてこないことが多いのです。
2.先天性欠損
もともと、生まれつき歯の数が少ない場合もあります。
ただし、無くなる歯は大体決まっていて、前歯ですと、下の側切歯(片方または左右両方)が一番多く見られ、その次に上の側切歯(主に片方、両側は稀です)です。
それ以外の歯は滅多にありません。真ん中の中切歯がもともと無いケースは、長年(30年以上)歯科をやっていますが、見たことはありません。
奥歯では、下の第二小臼歯(片側、もしくは両側)が多く見られます。
乳歯のときに、癒合歯(ゆごうし=二つの歯がくっついて一つになった歯)や、乳歯の本数が少ない時は、永久歯の欠損が見られることが多いので、永久歯が生える時期になりましたら、かかりつけの歯科でレントゲンを撮ってもらってください。
3.乳歯が早く抜けてしまったとき
重度のむし歯で歯の神経が死んでしまった、もしくは歯科医院で神経を殺してもらった場合などは、乳歯が通常の生え変わりの時期より早く抜けることがあります。
さらに、よくあるのは、上の前歯で以前に強くぶつけて歯が弱くなってしまったケースです。
これらは、乳歯が抜けそうになっても、その下の永久歯がまだ根(歯根)が出来ていなくて生えてこられないのです。
この場合はすぐに生えてこなくても待っていればいいですが、心配でしたら、小児歯科の受診をおすすめします。
あと、歯の生え変わりは個人差があり、一般的に男の子の方が、女の子よりおおよそ半年くらい遅くなっています。
4.過剰歯が邪魔をしている
上あごの真ん中に、「正中過剰歯」という通常の永久歯とは別に、余計な歯(過剰歯)が生えてくることが時々あります。
当クリニックでは、子どもの矯正治療が主体のため、お子さんを他の歯科医院より多く診るためか、年間2、3人ほど見ます。
過剰歯は正規の歯(有るべき歯)と形が違っていて円錐形にとがっていますので、直ぐにわかります。
乳歯が抜けて(この場合は、通常の生え変わりより早めに抜けます)永久歯が生える前に生えてくる場合と、もぐっていて(埋伏歯)永久歯を生えにくくしたり、永久歯が曲がって生えてしまうこともあります。
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そのままにしておくとどうなるのか?
状況によって対応も変わってきますので、4つの理由ごとに述べてみます。
1.スペース不足の場合
ほとんどの場合、歯が重なって生えてきますが、たまに生えることが出来なくて、もぐったままになってしまっていることがあります。
それぞれの歯の萌出時期⇒詳しくはこちらへ 乳歯(子どもの歯)の生え変わりをよく覚えておくことです。
やはり、乳歯が抜けて半年以上生えてこない、あるいは、生え変わりの年齢より1,2年たってしまっている場合は早めに歯科を受診されてください。
2.先天性欠損の場合
上の側切歯が1本少ないときは、放っておくと正中(左右の中切歯のライン)が歯の少ない側に寄ってしまうので、矯正治療を受けられた方がいいでしょう。
下の前歯の欠損(側切歯または中切歯)の場合、1本だけであれば、ほとんど目立ちませんが、2本になると、すきっ歯になったり、下あごの歯列自体が引っ込んで、上の前歯が相対的に前に出て、いわゆる“出っ歯”になってしまうことが多いので、2本以上の場合も矯正治療を受けられた方がいいでしょう。
3.乳歯が早く抜けてしまった場合
一般的に乳歯が早く抜けてしまうと、永久歯が生えるまでに永久歯の生えるスペースが少なくなってしまう傾向にあります。
かかりつけの歯科で継続的に診てもらい、その対処法(近藤歯科クリニックの対処法は後述)を相談しながら、永久歯の生えるまで待ちましょう。
4 過剰歯のある場合
すでに生えている過剰歯は抜いたほうがいいでしょう。そのままにしておくと永久歯の萌出に支障がでます。
もぐっている過剰歯が生えてきたら、これも抜いたほうがいいでしょう。
永久歯が生えない時の対処法
近藤歯科クリニックでは、以下の対応をしております。
①原因の確認
レントゲン撮影、ご両親ご家族の欠損歯の有無、などの情報収集を行います。
②今後の予測
自然に生えてくるのか、それとも処置が必要か、など。
③噛み方、食事指導
前歯がスペース不足は生えない場合は前歯で意識して(歯がまだ生えていなくても)噛むように指導します。
④機能トレーニング
舌、唇などの機能が低い場合は機能トレーニングを行います。そのお子様に合うものを考えます。
⑤矯正治療の開始
場合によっては、拡大装置、マウスピースなどを用いて矯正治療も行います。
⑥重度の場合
重度の場合(年齢的に小学校高学年以上)は外科処置により開窓(歯ぐきを切開して歯冠を出します)、さらには、マルチブラケット、床矯正装置を用いて潜っている歯を引っ張り(牽引)ます。
グラグラの乳歯は自分で抜いて大丈夫?
①自然に生え替わりを待つ場合
位置的には上下の乳歯の前歯、状況的にはまだグラグラしていない歯
②親御さんが抜いて言い場合
すべての乳歯で、グラグラですぐに抜けそうな歯でお子さんが歯科に行くのを嫌がっている場合
③歯科医師に任せた方が良い場合
位置的には乳歯の犬歯(これは放っておくと永久歯の犬歯が外側に出て、しかも歯が捻れて回転してしまう場合があるため)、さらに乳歯の奥歯(低位歯といって隣の歯より下の位置に有り、自然には抜けない場合があります)、乳歯の一番奥の歯である第二乳臼歯は抜けないで残ってしまうことが(この場合、永久歯がもともと無い=先天性欠損、のこともあります。)
まとめ
このように、近藤歯科クリニックでは、そのお子様の状況、年齢、歯の位置、成長発育のタイプなどに合わせて対処しています。
ここで大事なことは、なるべく早期に、「おかしい?」と思われたら、すぐに受診されることです。“様子を見ている”よりは“状況の把握”です。