立川歯周病研究所(医療法人社団徳梓会 近藤歯科クリニック監修)
ブログ
  • HOME »
  • よく噛むことと免疫力

よく噛むことと免疫力

よく噛むことについて

「よく、噛むこと」とは、食事で、よく噛んで食べるということです

とくに、固い物を食べたりとか、ガムなどを噛まなくてはいけないということではありません。

普段の食事で、ごはんやおかずを何度も噛んで、水や、お茶などでなるべく流し込まず、ゆっくりと落ち着いて食べることです。

「歯ぎしり・食いしばり」のページで、食いしばりによる歯や、歯ぐきが受けるダメージとそれに対する対策、「歯周病の進行」のページの<歯周病を加速度的に進行させる“咬合性外傷”>の項目で、食いしばりなどのブラキシズムの弊害を載せてみましたが、これらは、無理な力を長時間持続して(仕事の間中など)、歯と歯を支える組織に加え続けることであり、歯の本来の「食べ物を噛む」こととは本質的に違うのです。

「よく、食事で噛むこと」は、食べ物が歯と歯の間のにあり、歯に適度な噛む力が加わることにより、むし歯予防、歯周病予防になるだけでなく、体の免疫力を上げ、老化を遅らせる、素晴らしい健康法なのです。

ただ、スポーツや、トレーニングなどと同様で、やり過ぎることはかえって害になります。

やたらに固い食べ物を噛んだり、ガムのような噛み切りにくいものを習慣的に噛み過ぎることは良くないです。

この場合、“食いしばり”などのクレンチングなどと同様の“咬合性外傷”を起こし、歯や歯ぐきがダメージを受けてしまいます。

したがって、「よく、食事で噛むこと」と「食いしばりなどのクレンチング」は全く異なるもの、体にいいことと悪いこと、まさに対極にあると言えるでしょう。

“ひと口30回噛む!”くらいの気持ちで噛みましょう。

▲よく噛むことと免疫力のTOPへ

歯と歯ぐきを強くします

「よく噛むこと」は唾液の分泌を促し、唾液中のカルシウムにより歯の表面を再石灰化させ、歯の表面を強化するだけでなく、酸によって溶かされた、軽度のむし歯も修復させてしまいます。

さらに、唾液は、殺菌作用もあり、むし歯や歯周病予防にもなります。

そして、適度な噛む力は、歯を通して歯ぐきに伝わり、歯を支えている歯根膜や歯ぐきの血液の流れも良くし、組織の抵抗力も強くするのです。

▲よく噛むことと免疫力のTOPへ

歯並びも良くします

前歯が乳歯から永久歯に生え換わる、小学校低学年時期に、よく噛んで食事をしないと、顎(あご)の成長が悪くなり、前歯が重なり合い、叢生(そうせい)となり、歯並びが悪くなります。

また、矯正治療をしても、よく噛んで食べる習慣に変えていかないと、一旦、歯がきちんと並んでも、また、元の位置に歯が戻ってしまう(後戻り現象といいます)ことが多いです。

あと、食べ物を良く噛んでいると、歯に適度な力が加わり、歯も噛む力を垂直方向できちんと受け止めなくてはならないため、まっすぐにきれいに並ぶのです。

よく、たとえで言うのですが“筋肉トレーニングをさぼっていると、せっかく鍛えた筋肉が衰えてしまうように”、また、“体の使っていないところは、必要がないため、その機能が衰えるようなもの”というようなことです。

適度な力を食事で(持続的でなく、食事中とか、歩いている時とかの短時間で)加えることが口の周りの組織にも大事なのです。

▲よく噛むことと免疫力のTOPへ

肥満を防ぎます

「よく噛む」と、いくつかのとても重要なホルモンが分泌されます。

その代表が「ヒスタミン」「レプチン」「ラクトぺルオキシターゼ」「コレシストキ二ン」の四つです。

ヒスタミンは脳の満腹中枢を刺激して満腹感をもたらします。レプチンもヒスタミン同様、満腹中枢を刺激し、過食を防ぐ働きをもっています。レプチンは食後20分ほどで脂肪細胞から出るホルモンですが、これにはほかにもう一つ、基礎代謝を上げる働きがあります。

つまり、「よく噛む」ことは、満腹中枢を刺激し満腹感をもたらすとともに、基礎代謝を上げる働きをもっているということです。

よく噛むと食事にかかる時間が長くなり、早く満腹感を感じるので、食事の絶対量が減少します。これは、少しずつ食べ物が体に吸収されるということなので、血糖値の急激な上昇を抑えることになります。

さらに、食事の絶対量も減るので、インスリンの分泌量も抑制でき、膵臓を守ることになります。

▲よく噛むことと免疫力のTOPへ

がんを予防します

前述の「ラクトぺルオキシダーゼ」はホルモンとしましたが、正確にはホルモンのような作用をもった酵素です。

これは「よく噛む」ことによって、唾液の中に分泌されるのですが、発がん性物質の発がん作用を低下させる働きがあることがわかっています。

唾液に食べ物を30秒以上浸すと、発がん作用が低下したり、消えてしまうことがわかっています。それで、1回1秒として、「ひと口で30回以上噛みましょう」と言うのです。

▲よく噛むことと免疫力のTOPへ

よく噛むことは、脳を活性化させます

コレシストキ二ンは、よく噛むことで食後2時間から3時間ほどで十二指腸から分泌されるホルモンです。

これが分泌されると脳の中でも、記憶と深く関わっている「海馬」の血流量が増えることがわかっています。

脳の場合、血流量が増えるということは、その場所の機能が高まるということなので、よく噛むことで、脳の海馬の機能が高まり、脳を活性化させるといえるでしょう。

▲よく噛むことと免疫力のTOPへ

PAGETOP
Powered by ブログdeデンタルBiZ